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Kennewickman-30

最終更新: 2019年10月22日


2012年4月18日。


フィルと奥さんのエレインが、彼らのヨットでのクルージングに誘ってくれた。午後三時半、双胴船のWe Be Jamminはケネウィック港を出て、コロンビア川へと進入する。


ここは海ではない。川である。雪解けの水流が早い。川上へと進路をとり遡上する。雨上がりの空には強い西風が吹き、ヨットに対しては向風となった。風も川の水も進行方向から強く流れてくるので、小さなディーゼルエンジンでスクリューを回し、補助動力に使う。メインセイルとジブを張り、風に向かって右60度に進み、川岸に突き当たれば左60度へと方向転換して、ジクザグと深く切り返しながら進んだ。フィルとエレインは切り返しの度に声を張り上げ協調しながら、煩雑な帆の操作と操舵を同時にこなしていた。


ケネウィックマンが発掘された場所を通過してさらに上流まで川を遡り、数キロ過ぎたところで川下へと折り返して帰路についた。


こんどは水流に乗って川下へと向かうので、エンジンを切る。風と同じ方向へヨットが進み始めたので、ヨットの上では相対的に風が止む。エンジン音も風の音も消えて、静寂が訪れた。風が弱まり不安定となった帆は、僅かな風の変化をきっかけにして不意にものすごい勢いで右へ左へと翻ることがあり、注意を怠っていると帆のアルミフレームで頭を飛ばされてしまいそうだった。


俺のカヤックに取り付けた帆は、ヨットの帆と同じ原理だという。ヨット操縦の入門書をつい先日から読み始めたばかりの俺は、複雑な帆の構造や、煩雑な帆の操作、風を受けた帆の挙動、風に対するヨットの動きなどをつぶさに観察した。これからさき非常に役立つ貴重な体験となることは間違いなかった。

©2019 by ウミアック珈琲

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