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kennewickman-7

最終更新: 2019年10月15日


2012年4月3日。


数ヶ月以上野営をしながら川と海をカヤックで移動するので、膨大な量の食料や燃料や装備が必要になる。しかし飛行機に載せられる手荷物の重量は大したことがないし、危険物である燃料は載せられないので、主な食料と全ての燃料は現地調達しなければないない。


バンクーバーの大型スーパーに行った。購入した品々を無料の段ボール箱へ詰め込む。しかし中身が重くて段ボール箱が壊れそうだったので、どう持ち上げたものかと試行錯誤していた。それを傍から見たら、重くて持ち上げられず困っているように見えたのだろう。初老という感じの男性が手伝ってやると言って近づいてきて、いや重いから遠慮しますと断る間もなく、俺の反対側に立って一緒に段ボール箱を持ち上げ始めた。見た目以上の重さに一体何を買ったのかと目を見開いて一瞬驚く表情を見せたが、それでもウーンと顔を歪めながら力を込めて持ち上げる。嬉しさよりも彼が腰を傷めないかとハラハラした。そして荷物をカートに載せ終わると、余計な言葉や挨拶など残さずさっさと彼は立ち去って行った。


いや驚いた。自分の歳などお構いなしに、困っている奴がいたらさっと助けるのが当たり前。相手が自分より若くても、自分の体を気遣うより他人を助けることの方が優先順位が高いのだ。


そういえばこの同じスーパーで、俺がビオフェルミンとマルチビタミンに似た何かの錠剤を買おうと異国の地で異国の薬の選択に戸惑っていると、同じ棚に来て薬を見始めた女性が、ここのスーパーで買うよりあそこにあるスーパーで買った方が安いよと話しかけてきた。日本でいえば少しお節介ということにでもなりそうだが、どうもこちらでは顔を知らぬ者同士でも情報交換をして市民同士が協力しあうのが普通なのだという雰囲気である。


カナダ。いやーいい国だなと思うのであった。


夜はまた車内で寝ることにした。寝袋にくるまり狭い後部座で、首と足の置き場に困りながらうとうとする。


2012年4月4日。


もう一度アメリカ・カナダ間の国境を越え、アメリカに再入国する。

©2019 by ウミアック珈琲

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